不動産の相続手続が必要な理由

文責:弁護士 井川卓磨

最終更新日:2024年10月10日

1 不動産の相続手続の内容

 不動産の相続手続でやらなければならないことは、不動産の相続登記手続です。

2 相続登記の義務化と罰則

 令和6年4月1日から、相続による不動産の取得を知った日から3年以内に相続登記を行うことが義務化されました。

 正当な理由がなく、登記申請を怠った場合は、10万円以下の過料が科されることになります。

 ですので、過料を科されないためにも相続登記は必要です。

3 相続人間のトラブル防止と相続手続の長期化防止

 相続財産に不動産が含まれる場合、亡くなった方の名義のままでは売却することができませんので、売却をご希望の場合は不動産名義を変更する事になります。

 例えば、登記名義人が自分の祖父で、今回自分の父が亡くなったような場合、祖父の登記名義を変更するためには、父が亡くなった際にどのような遺産分割が行われたのかを確認する必要があります。

 ただ、自分の父の世代が全て亡くなっていると、どのような遺産分割が行われたのかわからず、遺産分割協議書も出てこないということになってしまうと、再度、自分たちの世代で遺産分割協議を行う必要があります。

 その際には、いとこや叔父・伯母など、関係者が20人を超えてしまうようなケースもあります。

 その20人すべてから遺産分割協議書に署名・押印をもらわなければならなくなってしまうので、時間と手間暇が非常にかかるケースもよくあります。

 相続登記の放置は、自分の世代だけでなく、子や孫の世代に多大な迷惑をかけることになりかねませんので、速やかに相続登記手続を進められることをおすすめします。

4 固定資産税の誤った請求防止

 不動産の相続登記を行っていなければ、自治体からは登記名義人の相続人へ固定資産税の請求を行います。

 その相続人が遺産分割等によって、不動産の所有者となっているのであれば、正しく請求が行われているといえますが、実際は他の相続人が相続しているにもかかわらず、登記名義が変更されていないがために、誤った方に固定資産税が請求され続けることもあり得ます。

 ですので、速やかに相続登記を行われることをおすすめします。

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