適切に相続税の申告・納付を行わないとどうなるか

文責:税理士 井川卓磨

最終更新日:2025年02月20日

1 税務調査の対象となる

 相続税申告の対象であったにもかかわらず、相続税申告を行っていない場合、税務署から税務調査の対象となり得ます。

 税務調査は原則として拒否することはできません。

2 まったく申告を行わなかった場合

 相続税申告をまったく行っていなかった場合、無申告加算税というペナルティを課税されます。

 無申告加算税は、更正・決定を予知する前の場合、50万円以下の部分は10%、50万円超300万円以下の部分は15%、300万円超の部分には25%が課されます。

 更正・決定を予知した後の場合、50万円以下の部分は15%、50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分には30%が課されます。

 仮装隠ぺいがあったと判断された場合は、無申告加算税ではなく、重加算税が課されることになります。

 重加算税は40%です。

3 一部の申告しか行っていなかった場合

 この場合は、過少申告加算税と重加算税が課されることになります。

 税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合、過少申告加算税はありません。

 税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受ける前に修正した場合は、期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分は15%、それ以外の部分は10%が課されることになります。

4 延滞税も発生する

 更に、納付期限から納付が終わるまでの間、延滞税を課税されます。

 延滞税は、納期限までの期間及び納期限の翌日から2か月を経過する日までの間は2.4%、2か月を経過する日の翌日以後については、8.7%が課されます。

5 相続税の申告・納付義務はすべての相続人に連帯することに注意

 相続税は、他の共同相続人の分についても、連帯納付義務が課せられています。

 そのため、自分は相続税を納付していても、他の共同相続人が納付していない場合、他の共同相続人の相続税も納めなければなりません。

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